福岡 観世音寺

福岡県太宰府市観世音寺に足を運びました。
福岡の観世音寺(かんぜおんじ)と言ってもピンと来ない方の方が多くいらっしゃると思います(残念なことですが)。
源氏物語』にも登場する観世音寺は、天智天皇が、母君・斉明天皇の冥福を祈るために発願されたもので、造営開始は7世紀後半にさかのぼります。太宰府天満宮とともに当時の九州を治める要所でありました。
奈良の東大寺・栃木の下野薬師寺とともに「天下三戒壇」の1つに数えられます。
仏像をはじめとする文化財を豊富に有します。九州随一の仏像彫刻の宝庫としてお仏像愛好家の方々には有名でしょうか。


天智天皇が、661年に没された母・斉明天皇の追善のために発願され建造に80余年をかけた大伽藍でした。詳細な縁起は伝わっておらず、関連文書として最も古いものは905年成立の「観世音寺資財帳」(東京藝術大学所蔵、国宝)です。
そこかしこに、当時のダイナミックであった仏教の面影を感じることができます。


この国宝の梵鐘は、京都妙心寺の梵鐘と、同じ木型を用いて鋳型を造った兄弟鐘だそうです。日本一古い梵鐘です。

境内を参拝散策したあと、宝蔵へ。

宝蔵には平安時代から鎌倉時代にかけての仏像16体をはじめ、全ての重要文化財の品々が収容されています。
私自身足を踏み入れたのは初めてだったのですが、ここで本当に驚きました。
(またしても、館内撮影厳禁でした)
宝蔵の中に5m前後の観音像がずらりと並ぶ様は圧巻でした。
木造馬頭観音立像、木造不空羂索観音立像、木造十一面観音立像の5m超えの三体を中心にそれを取り囲むように、3m〜1,5mの13体前後の仏像群が立ち並びます。宝蔵内で最も大きい馬頭観音像は国内最大のもです。

写真や文章では大きさと迫力はお伝え出来ませんが、大きさ、造形のクオリティも非常に素晴らしかったです。古い様式だけではなく、当時の都での流行と同じかたちも取り込んでいることも随所に見受けられます。
目を引いたことは、木造四天王立像の表情が、ふつうは非常に憤怒したものであるのに比べて、穏やかに造られていたことです。
また、木造兜跋毘沙門天立像。日本三大兜跋毘沙門天像の一つで、なんとその足元を支えているのは女神さまです。

そしてもう一つ驚いたのが、こちらの木造大黒天立像です。福々しい笑みにふくよかなお体躯、ではなく眉をしかめ忿怒の表情を浮かべる古式の大黒様でした。大黒天像としては国内最大の大きさで、大きさも体躯比も人の等身に近い大変珍しいお姿をしていました。もともとは大黒様が武闘の神様であられることがうかがい知れます。
そして多くの仏像が樟材で造られたのも九州の特色ともいえますね。

境内にも大きなクスノキがたくさんあります。
文化財はこの大きさなので、宝蔵から外に出られることはないので、是非足を運んでみてください。
福岡県まで足を運んでも見る価値のある仏像群です。

天台宗 清水山 観世音寺
〒818-0101 福岡県太宰府市観世音寺5丁目6−1
[観世音寺宝蔵]
■ 開館時間/9:00〜17:00(入館は16:30まで)
■ 拝観料/大人500円、高・大生300円、小・中学生150円

木造不空羂索観音立像と宝蔵のお写真は http://www.dazaifu.org/map/tanbo/tourismmap/4.html
木造大黒天立像のお写真は http://www.city.dazaifu.lg.jp/bunka_t/choukoku.html から拝借させて頂きました。

本日の商品紹介です。

作品名:「鍍金 地蔵仏」
内寸:高6 cm
メモ 1:持仏・状態良・古色有
商品番号:91505657


作品名:「唐物 金銅 誕生仏」
内寸: 高さ12.5 cm
メモ 1:状態良・箱入
商品番号:91412224

誕生仏=釈迦降誕の姿をあらわす仏像で四月八日の灌仏会花まつりの本尊です。釈迦は生まれてすぐ四方に七歩ずつ歩み右手で天、左手で地を指さし「天上天下唯我独尊」と言われました。日本では珍しい左手を挙げた誕生仏ですが、中国南部や東南アジアなどの南方系の誕生仏はほとんどが左手を挙げています。

蓮・慈光美術カタログ2月号は只今絶賛準備中です。
発行日はまたお知らせ致します。
http://jikoh.co.jp/?page_id=21
どうぞお楽しみに!