英 一蝶

先日、江東区の清水白河駅を降り東京都現代美術館まで歩いていたときのことです。
門は小さいのですが、何とも風流な雰囲気のお寺さんがございました。
札を見ると「一蝶寺」と書いてありまして、ずうずうしくも中に数歩入っていってしまいました。

パチンパチンと音が聞こえてきました。
向こう側にすばらしい盆栽が見え、奥にご住職様とおぼしきお方が盆栽の剪定をされていらっしゃいました。

東京の町の中にいるとは思えない、一瞬水墨画の中の世界に入ってきてしまったと感じるほど静かな瞬間でした。

一蝶寺さん…

英 一蝶「江戸風俗 皿まわし 画賛」
なんだか既視感が…と思いましたら江戸時代の大絵師、北窓翁こと「英 一蝶」さんゆかりのお寺でした。

英一蝶さんはかなり多芸な方であったようです。
狩野派風の町絵師として活躍が始まり、俳人宝井其角松尾芭蕉らと交友。書道は玄竜門下に学ぶ。名を江戸中に知られるようになり、町人から旗本、諸大名、豪商まで、広く親交を持つ。肉筆浮世絵に近い風俗画に優れた作品を残している。
吉原遊廓通いを大変好み、客として楽しみながらさらに自らも太鼓持ちとして活動。その話術・芸風に於大尽・大大名達も夢中になりいつのまにか散財させてしまうほどのものであったといいます。
元禄6年に罪を得て入牢する。理由は不明。…その破天荒さゆえに知らぬまに買った恨みからでしょうか?
元禄11年47歳の時、今度は生類憐れみの令に対する違反により、三宅島へ流罪となりました。
島流しの理由がとても興味深いです。以下をご参照下さい↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%B1%E4%B8%80%E8%9D%B6
親族から年数度の仕送り(物品)が許されていたが、彼は制限ある仕送りに毎度のように絵具を要求したそうです。

いわゆる昔の文化人知識人ど真ん中でありながら破天荒で一本筋の通ったパンクな方だったようです。おもしろいです!



作家名:英 一蝶
作品名:「江戸風俗 皿まわし 画賛」
メモ1:マクリ・絹本・淡彩・状態難有(虫穴大、シミ少々)落款のみ印なし
サイズ:内寸50×33.5 cm
商品番号:60613207

ご購入検討される方はお早めにメール・フォーム・お電話等でお問い合わせ下さい。
お問い合わせ/ http://jikoh.co.jp/?page_id=26

「一蝶寺」という名は通称のようで、本来は「宜雲寺」だそうです。
臨済宗妙心寺派、恵然禅師が深川元町神明社の社地を一部借りて宜雲庵を創建、元禄6年に檀越白井市郎兵衛より2700坪の寄進を受けて移転。画家英一蝶が開山・二世に帰依、堂宇に画を描いていたことから一蝶寺とも称されたといいます。
潜り戸には「日本盆栽協会 江東支部」の表札がかかっていました。

一蝶さんの作品は、東京国立博物館ボストン美術館三井記念美術館…etc様々な美術館に所蔵されています。
是非足を運びたいです。