ソフィ・カル『最後のとき/最初のとき』

品川の原美術館で開催されていたソフィ・カル『最後のとき/最初のとき』に足を運びました。
展示はすでに終了しましたが、記事として紹介します。

展示を見た人らと作品について話すと
「いわゆる優等生な女性作家というイメージもある…」
「…自分の今の健康な体や立場に感謝したい…と思う内容だった」と語る方が多かったですね。

1階の盲目の人々に海を見せる作品は、なんだか演劇性の方が強調されて見えてしまい、あまり納得のいく作品ではありませんでした。

が、2階の作品群は考えさせられるものが多々ありました。
盲目の人々の写真と、その失明の経緯。
生まれた時から盲目の方、最初のときから「視覚」が存在しないという人のもつビジョン/イメージというものが、嗅覚や聴覚により構成されていることに、日常の中では考えないような記憶の中のイメージの要因について考えさせるものがありました。

そしてこの作品の構造は、運命・視覚(知覚)といった要素に導かれながら、写真という視覚芸術の鑑賞者に対して、視覚を持てない人々の物語を提示します。
…これ以上の深追いはここではやめておきます。

ソフィ・カルは1953年生まれのフランスを代表する美術家です。
十代〜二十代の間に長い放浪生活をしていたそうです。
盲目性が一種のムーブメントであった時代がありました。
その時代を牽引していたのが彼女でありました。
彼女にとって他者を観察する事は、自分を知ることなのでしょう。

余談ですが、夏場の原美術館は本当に蚊が多いです。
毎年です。いい加減対策してほしい…と思います…。
足を運ばれる方はムヒや虫よけ対策をおすすめします。

今日のご紹介。



作品名:「萬重関鎖一時開」
作家名:菅原 義道
総丈:160×30.7 cm
内寸:85.4×28.7 cm
メモ 1:紙本・状態良(巻シワ少々、ノリシミ極少、墨ヨゴレ極少)一文字金襴・中廻緞子・上下袿・合箱
メモ 2:鎌倉臨済宗建長寺派竹の庭報国寺二十九世、昭和十二年生。鎌倉観音霊場第十番、鎌倉十三仏第八番(観音菩薩)、東国花の寺百ヶ寺鎌倉五番札所「竹の寺」とも称される
商品番号:91404541