竹内栖鳳展

先日竹橋の東京国立近代美術館で開催されておりました「竹内栖鳳展」へ足を運びました。
栖鳳の代表作から初公開の作品まで約110点が一同に揃う素晴らしい展覧会でしたので記事にご紹介!

竹内栖鳳(たけうちせいほう/1864−1942)は近代日本画の先駆者で、戦前の京都画壇を代表する大家であります。
蓮でもご縁のある大作家であります。
栖鳳は京都に生まれ、四条派の幸野楳嶺に学んだ後、積極的に他派の筆法を取り入れ、栖鳳自身の真髄となるハイブリットな日本画を作り上げ、当時の古い体質の画壇に風穴をあけました。
師の楳嶺がもとは円山派の出であったことから円山派の実物観察、狩野派の線の強い描写技術など。そして四条派の軽妙洒脱な筆遣い。様々な流派を貪欲に取り込んだ事から、守旧派からは「鵺派」と揶揄されていたそうです…。…などなど語り始めたらキリがありませんので、ここでは展覧会の回想記を綴らせて頂きます。

代表作が一堂に介す展覧会、屏風の集められた展示室にてスケールに圧倒されました。
「獅子図」「金獅」の「うまい」と表現するのにも違和感さえ覚えるような域にある描写・表現法。そして対極には「象図」の大画面の中での大きな筆さばきの躍動感。モチーフの質感/量感に筆が導かれているようです。栖鳳のすごさの一つには、大画面の構成を破綻なくまとめ、スケールを上げるところにあることを体感致しました。また、上手すぎるほ上手いのに、達観した匠の技特有の「人をよせつけない」オーラをまったく出さないことに驚きました。
重文「班猫」はもう素晴らしすぎて何も言えません…「雨霽」「河畔群鷺」のような構図は個人的に好きです。

「秋興」の鮮やかな色彩と構図に胸躍りました。
そして「群鵜」という作品。栖鳳は動物や生き物を描く技法もさながらですが、かたちが本当に美しいです。実物観察から、平面に落としこむときに切り抜かれるかたちの美しさが強いコントラストを用いることで分かりやすく描かれた作品であります。
「群鵜」は個人蔵となっていますがどうやらもとは「霞中庵 竹内栖鳳記念館」にあったよう…
http://homepage1.nifty.com/kyotosanpo/takeuti3.html 画像あり)

そして「アレタ夕立に」,「絵になる最初」,「散華」など…
「散華」にて天女を描くためにモデルをデッサンする時、天女として描くために、モデルを寝かせた上の天井に鏡を貼って、そこに映る像を見上げて描いていたそうです。なるほど。ミケランジェロはこれをどう思うでしょうか。
展覧会最後の「水の写生」の章もすばらしかった。
水の勢いを表現するのに暖色を使っていたのが印象的でした。

そして本日の蓮からのご紹介作品です。

竹内 栖鳳「村居」

秋が旬の鯖に唐辛子。
3点のモチーフの中に、栖鳳の美しい色使いが垣間見れる逸品です。
四条派の軽妙な筆さばきが生き生きとあります。
タイトルの「村居」は田舎の料理と言ったようなところでつけられたのでようか。
美しいですね……はあ…(ため息)
東京美術倶楽部の鑑定書がついております。

作家名:竹内 栖鳳
作品名:「村居」
総丈:52.7×57.2 cm
内寸:31.8×36.5 cm
詳細:絹本・彩色・状態良・額装(額イタミ直し極少)額裏に軸共箱蓋組込・兜屋画廊シール・東京美術倶楽部鑑定書
商品番号:50412222

近美での展覧会にも「鯖」という作品が出品していましたね。鯛や鯖などをモチーフにした作品も数点見受けられました。
出展の「松魚」にも近い雰囲気ですね。
価格等の詳細ご希望や、ご購入のご希望は、メール・お電話にてお待ちしております。

そしてお次は、京都の絵師・野長瀬 晩花。
栖鳳の弟子である土田麦僊らと国画創作協会を創立しました。
晩花は、洋画のような手法で斬新な絵画をこころみた絵師のひとりです。

大原女(おはらめ)とは、山城国大原の女子が薪を頭に載せて京の都で売ることをさしています。

作家名:野長瀬 晩花
作品名:「大原女」
総丈:198×44.2 cm
内寸:127×33 cm
詳細:紙本・彩色・状態並(ヤケ少々、ソリ少々、オレ少々)一文字金入緞子・廻し袿・合箱
作家詳細:日本画家。蘆月塾に入門、谷口香嶠に師事。京都絵専に入学し同期の土田麦僊らと国画創作協会を創立。渡欧。のち画壇を離れ満州方面を歴遊。戦後は信州の文化人たちと白炎社を結成、地方の芸術活動に貢献。昭和三十九年歿七十四歳和歌山生。

東京展は先週で終了してしまいましたが、今週から京都展が開催されます。
西日本の皆様には是非お運びされますことお勧め致します。

京都市美術館開館80周年記念 竹内栖鳳展−近代日本画の巨人−」
会期:2013年10月22日(火)〜12月1日(日)
会場:京都市美術館
http://seiho2013.jp/index.html

そして、「西の栖鳳 東の大観」と言われます東の大家の展覧会が横浜美術館で開催中です。
二大近代日本画家を見比べるまたとないチャンスです!こちらも是非に。
展覧会:「横山大観展―良き師、良き友」
会期 :2013(平成25)年10月5日(土)〜 11月24日(日)
会場:横浜美術館
http://taikan2013.jp/

ご紹介した蓮のお品物、ご購入検討される方はメール・フォーム・お電話等にてお問い合わせ下さい。
お問い合わせ: http://jikoh.co.jp/?page_id=26

※当ブログで使用した展覧会作品画像は公式サイトとwikipediaより引用させて頂いております。