福岡 鞍手郡 長谷観音

すっかり春の陽気につつまれはじめ、木の芽がいっせいにくすぶりだしました。
今回は日本三大長谷寺のひとつで、重要文化財 木造十一面観音立像を宝蔵されている、福岡県鞍手郡の『長谷寺』に足を運びました。

長谷観音の呼び名で親しまれる長谷寺のご尊像正式名称は、『国指定重要文化財 木造十一面観音立像』です。
長谷観音縁起としては、元正天皇養老5年行基さんが木曽山中の楠の霊木で一本三体の像を彫り、 一体を大和長谷寺、一体を鎌倉長谷寺、そして又の一体がこの福岡の長谷観音さんです。

そんなこんなで、福岡の山あいの田園地帯に長谷寺はあります。

菜の花や梅も咲くのどかなところです……

山門を入り階段をのぼると本堂です。
まずは本堂を参拝させて頂きました。


本堂、こちらのご尊像も非常に時代を感じます。詳細は記載されていませんでした。
そして本堂の裏手へ

このお堂の中に長谷観音様がいらっしゃいます。

………!!!

すばらしいお姿です。
九州で最も古い形で、平安時代前期の気品ある美しい姿です。
(遮光ガラス越しの撮影で、画像見えづらいでくすみません。)


像高188cmのご尊像は、樟材を用いて、頭上から足下まで一本で造られておられます。
仏師は、稽主勳、稽文会だそうです。しかし長谷観音が造られた由来は、行基の作をはじめとして、いろいろな説がありますが、10世紀に、地方の仏師がその地の樟の木で彫刻した仏像だという話もあります。

頭部から蓮の台座まで一本の木で造られています。仏像の背中の部分には、樟の一枚板で造られた舟形の光背が置かれています。
観音様に差す後光 “舟形光背”がこのように完全な形で残されているのは、岡山県以西ではここだけという大変貴重なお仏像です!



両脇には四天王立像が。
年季の入ったお姿ですが、時代と由緒を感じる味わい深いお姿です。

昨年開催された「九州仏」展には、木造十一面観音立像もご出張されていました。
実は、長谷観音は以前は「国宝」指定されていたようです。
しかし、経費や管理費等の関係で重文に移行したそうです。
地方の文化財にとって保存と管理を持続させていくというのは非常に切実な問題ですね。


毎月17,18日がご開帳日のようですが、足を運ばれる際は必ず事前にお調べ下さい。


浄土宗 亀甲山宝池院 長谷寺
〒807-1314 福岡県鞍手郡鞍手町長谷552
TEL 0949-42-1634
http://www.kurate-museum.com/index.php?長谷観音


さて今回のお品。福岡生まれの朝雲さんです。


作家名:山崎 朝雲
作品名:「唐銅 放牛図」
内寸:高14.2×28.5×12.8 cm
詳細:状態良・腹に彫銘
商品番号:91506502
木彫。文化功労賞。芸術院会員。帝室技芸員高村光雲に師事、同門の平櫛田中米原雲海らと日本彫刻会を結成。昭和二十九年歿八十七歳福岡生まれ。

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