四月 茶道稽古 春を惜しむ

春爛漫の盛りも過ぎて、4月は炉との別れの季節でもあります。
半年間親しんできた炉もこの月限り…名残惜しい茶稽古となりました。



寄付は 「竹の子 床飾り」91303079

「天暦御時麗景殿女御と中将更衣と歌合し侍りけるに 清原元輔 春霞立ちなへたてそ花さかりみてたに あかぬ山のさくらを」筆者不詳


「手付 花生」 益田 克徳
花は、つつじ 鉄線です。
春の茶事では、掛軸に花のテーマがあるときは生花を持ってこなくても良いそうです。
益田 克徳は、事業家、海上保険会社の支配人。鑑識に長じ、兄鈍翁とともによく茶会を行った。明治三十六年歿五十四歳


「桜川 透木釜」佐藤 浄清
「黒柿 炉縁」渡辺 可英
佐藤 浄清は、釜師、伝統工芸師、日本工芸会正会員、大徳寺御釜師。大正五年山形生。


「溜塗桜中棗」秋峰

「銘きく桜 茶杓」宮崎 央 91601915
きく桜とは、兼六園菊桜と言って日本で一つしかなかった天然記念物の桜です。
5月の初旬咲く桜で、一つの花に花びらが300枚以上つき、ちょうど菊の花のように咲くことからこの名で呼ばれています。
現在は、初代の木の接木から育てた2代目が2本並んでいます。
材質は不勉強のためはっきり分りませんが、槐もしくは兼六園菊桜の材なのかもしれません。
べっこうのようで美しいです。
宮崎 央は、金沢一の茶杓名人です。昭和六十二年歿。


「赤楽 茶碗」 初代 三国 丹祐
三国 丹祐は、二代竹泉に師事、大正昭和頃の人

「竹水指」 瑞泉造

薄茶碗は「色絵 竹の子 茶碗」 北川 弥三郎


「奈良絵 赤膚焼」 玉泉造
大塩 玉泉は、奈良赤膚焼大塩玉泉窯。


「粉吹風 鉢」 乕渓山 水月窯 91409084
乕渓山 水月窯は人間国宝荒川豊蔵が岐阜多治見市に興した窯。現在は子の武夫・達両氏が経営に当たる。虎渓山裏の地土を用い登り窯で伝統的な技法の粉引・染付・鉄絵等をつくる。
菓子は、「岩つつじ」俵屋です。

4月の茶会というのは戸外に出て桜を楽しみながらの野点や茶箱が多いですが、屋内で吉野の山にいるような雰囲気を出す茶会も一興ですね。
茶室内でも道具に春の華やかさを表現するのがふさわしいですが、四月も下旬になると炉との別れを惜しむ趣向のあるものも望ましいとされています。
とは言っても室内では、やはり花の文様や銘がほしいです。
しかしあまりサクラばかり用いすぎてもくどいですので、どこかでちょっとはずしを入れてみたり、雰囲気の抑えめな道具を加えても、花見にはむしろ軽やかな印象となりますね。
自然が主役のこの季節は、名器などにとらわれず色々と取り合わせを楽しんでみて下さい。

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