2016年09月26日のつぶやき

月を愛でる季節となりました。
月といえば、独特の光が印象に残る
写真家の杉本博司氏と、新進建築家の田根剛氏の対談が
先日NHKで放映されました。

杉本氏は 現在、リニューアルオープンした東京都現代写真館で
作品展が開催されています。
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2565.html
33の室にわかれて、世界の終わりにむけてのメッセージ となっています。

印象に残った言葉:

「発信する力をもっている物たちを集めるということが僕の仕事
 時間がそのまま氷漬になっている様な物たちを集めることで、物に語ってもらう
 写真にも語ってもらう
 物が発する力というものを感じてもらう」

氏の写真では、劇場シリーズが大好きです。
それについて、

「写真に撮ったと思ったものが見えなくなった
 見えないもの
 ある気配が存在しているのを証明したい
 観念がビジュアルをもたらすのか、みえたビジョンを観念化するのか
 写真は必ず真実を写し出すものではない」

「人間はなんで人間になれたのか
 時間の観念の発生
 時間という感じることが出来る様になる
 時間の意識」

たくさんの書物を読み込んでおられる印象を受けました。
哲学と美術は切っても切れないものがあると思うのですが、
対談相手の田根氏も、哲学的な点を指摘しておられました。
それに対し、
哲学とも違う  造形に惹かれるのは 目に見える形、
美しくなるまで研究したい と語っておられたのが印象に残りました。

作品展ではご自身の古美術コレクションも展示されており、
20代の頃、渡米先で蒐集や販売を経験されて以来とか。

「一つのものを買うと調べる勉強する
 血肉化した知識というのが自分のものになる
 偽物の存在感を知る
 偽物は修行 」

これは店主もかねがねそう申しております。

自分でお金を出して買わないと 真剣に真贋を学べない。

観ているだけでなく、小さなものでも情報や人の意見にとらわれず、
自分が気に入ったものを
買ってみることから始まります。
そして形あるものは いずれ壊れます。
その壊れ方も見届けて、次の出会いを楽しんで頂きたいと思います。

最後に:

「頭の中で抽象的なものを生み出すには材料がないと生まれない。
 何かから影響を受けたSignalをどう咀嚼していくか 」

これは作家、音楽家、美術家の垣根を越えて、
人が何かをつくらずにはいられない衝動を伝えてくれています。

久しぶりに真剣に聞き入りました。