2017年11月15日のつぶやき

10月30日に、一足早い炉開きをいたしました。
ひんやりした空気が心身をひきしめます。
寄付には 小川 鴻城 「秋景山水鹿鳴雁飛図」
秋に鹿がつがいを求めて鳴く情景を描いています。
鹿の音 鹿啼く など季語ともなり、万葉集はじめ様々な歌にとりあげられています。
絵も、姿より声をとりあげることが多かったのですね。
「寂しさを何にたとへん牡鹿鳴くみ山の里の明け方の空」千載集

本床には、玄外 宗訥 「関 官不容針 私通車馬」 
堂々としたお軸となりました。

今回私の一番のお気に入りはお花です。香春かずらに令法。
「ひさご 掛花入」になんと映えることでしょう。
スタッフが育てた草花を持参、いけてもらいました。
令法は大好きな花ですが、この時期でも風情があるのですね。
まだ開ききっていない蕾や、枯れた草花を愛でる感性は、日本人独特の
ものだそうです。

炉開きということで、今年始めて 万代 草山の「飾壷」を床の間に。
そして岡田 佳山「玄猪 色香合」は寄付に。

鈴木 盛久「布団 釜」と杉縁 風炉先 屏風、「面松葉 炉縁」
信楽 ふくべ水指」の取り合わせが いぶし銀の感があります。
建水は 一ノ瀬 宗辰 「唐銅 利休好み エフゴ 建水」


「呉器 茶碗」
江戸初期から釜山に日本注文の茶陶を専門に焼く窯が開かれ、手本のある茶碗の意味で御本茶碗とわれてきました。
特徴のひとつとして、高台内の土のさらい方が独特で、へら目を残さず拭き取ったようになめらかす。
緊張しながら 頂きました。

高橋 彩雲「錆絵金彩 木守絵茶碗」
こちらは一転して、柿の実が鮮やかに映ります。
木守とは、柿の実を収穫する際に、来年の豊作を祈って、木に一つだけ採らずに残しておく実のことをいいます。
庭の果実も全てとりきらず、野鳥に残したりいたしますね。

蓋置は 十代 大樋 長左衛門 「大樋柴束 蓋置」
安田 春仁「天然好 阿古陀 茶器」
茶杓は 東竹斎(造)長谷川 寛州(識・筒箱書)「銘 野分 茶杓
この時期ならではのお道具です。

主菓子の「亥の子餅」は、一日早いにもかかわらず、今木屋さんが特別に作ってくださったものです。
なんと柔らかく、美味しかったことでしょう。
干菓子は 鶴屋八幡「吹き寄せ」を「箕 干菓子器」に盛ってみました。
お稽古の後も、銀杏はどういう感じ?と次々となくなっていきました。
早くも次回は今年最後のお稽古です。
お茶会が続きますが、皆様お風邪を召されません様 ご自愛ください。