顔真卿と拓本

昨日盛況のもと終わりましたが会期わずかとなった日、穏やかな 

小春日和の中、「顔真卿」の書をみに国立博物館へ参りました。

詳細は国立博物館のサイトをぜひご覧下さい。

私ごとですが、書を書いていた母が顔真卿を敬愛し、家には教本

などがあふれ、その名も聞きながら育ちました。

自然と選んでしまう美しく読みやすいフォント明朝体もこの方の

書なくしてはありませんでした。

覚悟していたとはいへ、入館までに70分待ち、さらに今回の目玉

故宮博物館所蔵「祭姪文稿」こちらは館内でさらに80分待ちの

状態でした。

そもそもの書の始まり、甲骨文から、書聖とうたわれた王義之

東晋時代)の拓本、それをもとに華開いた唐時代三名筆家達

虞世南、欧陽詢、褚遂良。

その中の褚遂良の「孔子廟堂碑-唐拓孤本」は唯一現存作品は

日本(三井記念美術館)にあります。

顔真卿「千福寺多寶塔碑」では、まさにお手本となる端正な

筆がみられます。

「顔氏家廟碑」には一族の歴史が刻まれており「自書告身帖」

ではなんと自らの

任命書がしたためられておりました。

さらに時は流れ、顔真卿をもとにより洗練された書が生まれ

ます。

こちらも故宮博物館所蔵、日本初公開、懐素の「自叙帖」は

酒を飲み、流れるままの草書を書いたとされています。

このように書けたらどんなに心地良いでしょう。

 

日本にもその流れは渡り、有名な空海橘逸勢嵯峨天皇

小野道風藤原行成藤原佐理の書も並びます。

唐の書を下地により優美な独自の書風が育まれていったのが

わかります。

藤原佐理の書は大好きですが、残されたものが詫び状が多く

だらしない人、と後世残念な名が残っていたそうです。

 

明時代董其昌の「臨懐素自叙帖巻」にもひきこまれました。

そひて清時代になりますと、北魏の書への傾倒がみられ、

趙之謙「行書五言聯」の様に野趣あふれる書体へ移って

いきます。

あちこちで中国の方々を拝見しましたが、書をなぞるよう

にして魅入る姿に、ああ読めるんだなあ、と羨ましく感じ

つつ、

祭姪文稿はいつか故宮博物館で出会えますようにと祈り

ながら会場を後にいたしました。

 

拓本はいいものですね。

今回の書とはつながりはありませんが、

f:id:renjikoh:20190225160117p:plain

新羅慶州奉徳寺 梵鐘撞座 飛天左右 拓本」

f:id:renjikoh:20190225160342j:plain

「為往来安全 内海自得健之 拓本」

三寒四温の春到来です。
皆様ご自愛ください。

 

 #書 #拓本 #仏典

東京国立博物館 - 展示 日本の考古・特別展(平成館) 特別展「顔真卿 王羲之を超えた名筆」