五月も終わりの頃、梅雨入り前の長雨の合間、少人数での茶会を開き
ました。寄付掛物は
栗田 寛 「五月雨の 頃にしなれば まかせしと
おもふめ水は ただふるにけり」
短冊掛の色合いも涼しげです。
会沢正志斎、豊田天功に師事、
水戸家「大日本史」編集に参与、東大教授。
水戸学派の史家重鎮。
明治三十二年歿六十五歳
本床には 数寄者の大御所 松永耳庵「流轉是生命 瞬間即久遠」を。
万物は生滅流転、生命は滅び去り、新たな生命が誕生する。
電力界中心的財界人。福澤諭吉の『学問のすすめ』により、慶應義塾
に入学。美術コレクター、茶人としても知られ、
近代小田原三茶人の一人として高名です。
旭舟(氏不詳)「手付花籠」にはみずみずしい額紫陽花を添えます。
今回も参加者にはじめてお花をいけて頂きました。
香合は畑 幸春「杉 傘 香合」
山中塗の作家です。
「古銅 四方風炉」
鉄五徳添・獅子耳・箱書有れど不詳・江戸期のものとされています。
大きさがちょうどよく、室内でも存在間にみちた美しい風炉です。
画像は銀瓶ですが、
久世 宗春「片輪車 蒔絵 瓢 茶器」
蓋置
竹師 守(造)藤田 寛道(筒箱書)
「銘 草笛 茶杓」
「南京 龍染付 茶碗」
塗師 淡斎「赤 平 茶碗」
高6×径14.9
武蔵野窯、名工なり、茶陶を能くす。洋画家日展評、塗師祥一郎の父、
また唐津の井上東也の師。石川県小松生埼玉住
平茶碗にしては大きめで、殿方の手にちょうどよく収まり、好評でした。
熱さも感じさせず気に入りました。色はとても深みがあります。
主菓子は 今木屋さんで スタッフがデザインしたものを作ってもらい
ました。
練切の青楓に雨のしずくが光っております。
銘は「緑雨」
お運びするのは「欅 金彩 銘々皿」
とても素敵なお皿です。
懐紙から水が伝わりそうで、一枚敷いております。
天正年間創業 熊本園田屋「朝鮮飴」
こちらは江戸時代より受け継がれる熊本県の伝統銘菓です。
餅米と水飴、砂糖を独自製法でこね合わせ、長方形に切り出し、
片栗粉をまぶしてあります。
上品な甘さでお変わり所望がありました。
銘は 長生飴 肥後飴ともいわれていましたが、加藤清正が
朝鮮出兵時持参し、味の変化も無く日持ちする美味しい保存食として
絶賛したことから、この愛称となったそうです。
明治には大久保利通も好んで食べたとか。
既に真夏の暑さを迎えていますが、次回はどの趣向となります
でしょうか?
皆さまお気を付けてお過ごしください。