大神社展

さてお待たせしました。開催中の東博の『大神社展』レポートの時間です。
毎度の事ですが、すごい人でしたが、質量ともに圧倒的でした…
全国の神社から国宝重文が160件,神像彫刻が40体(多くが木彫)という日本神道でのかつてない規模の展覧会です。今後もしばらくはこの規模の展覧会は不可能とのこと。展覧会はもう神の文様のオンパレードです。
興味深いものばかりでしたが、絞って備忘録!!

展覧会中、もっとも迫力があったのは古神宝です。
各地の神社に古くから伝わる神々の服飾・調度・武具類を古神宝といいます。
私たち人間よりもひと回りふた回りも大きい服飾をみると、古代からの日本の神々の息吹を感じ、私は少しそらおそろしくなりました。

神像はみな極端に座像の下部の量感がなく、上半身とのボリュームがアンバランスです。頭髪表現も迫力があります。
またプロポーションも味わい深く、地域に根ざしたような信仰の穏やかさを感じます。

驚いたのが、広島の『僧形八幡神坐像』。
神仏習合の中に生まれた、仏僧の姿で佇む日本の神像に驚きました。

鳳凰、龍など神・天皇・仏法を賞賛する文様にあふれていましたが、
シルクロード西アジアの文様もありました。
宮地嶽神社『金銅製壷鐙』。
古墳時代の日本にはない、パルメット文様が、福岡が遥か太古から交易と渡来の場であることを示してくれます。


そして福岡沖ノ島神社の宝物『海獣葡萄鏡』。
海獣葡萄鏡は中国唐代に流行した鏡です。
海獣・葡萄文はササン朝ペルシャ・西域地方にも見られます。
複合した一種の図柄として構成したことは、唐文化の特徴です。
西方では生命の木である葡萄文は古来から唐草文のひとつとしてヨーロッパ、西アジアで。同時に中国日本などに存在しています。
海獣葡萄鏡は西アジアに広がる交易を示します。

沖ノ島神社は福岡宗像大社の本殿で、女神を祀る、完全な女人禁制の島です。
三女神の田心姫神が鎮座し、島自体が天然記念物なので、島の「一草一木」たりとも持ち帰ることは許されません。
無人の島ですので、神主さんらが交代で泊まり込み、ご神体にお仕えしているのです。
ですので福岡の宗像大社本殿の場所は、更地があるだけです。

神道の掛軸もたくさんありました。

『松崎天神縁起絵巻』
仏教の教えを描く掛軸は、そのだいたいが曼荼羅です。
しかし神道の掛軸は、自然と、"神のいる風景"を描くのですね…。

博物館の展示は暗い中に浮かび上がってくるようなライティングで眼が疲れませんね(笑)
ではキリがありません…のでこのへんで。

http://daijinja.jp/
「国宝 大神社展」
東京国立博物館平成館 特別展示室
2013年6月2日(日)まで

2014年1月に福岡に巡回するとのことです。