二月 梅が香の茶会

三寒四温というには気温差が激しいこの頃、

梅も桜にその座を明け渡さんとする、名残り惜しさをこめて。

 

寄付

大田垣 蓮月「春雪」

ふる雪も あはにむすべる いとやなぎ かずみるままに とけわたるなり

総丈146×26.5

八十五歳最晩年の歌・神光院主徳田光圓箱書(京都西賀茂の真言宗放光山神光院

住職、神光院は幕末の歌人で、南画家富岡鉄斎を育成したことで知られる蓮月尼が

晩年を過ごした所。)

 

寄付から本床へ

本床へ

本床

十三代武者小路千家 有隣斎

別号/宗守/徳翁/宗安

「和氣萬家春」

総丈177×32

「わきばんかのはる」 春の一日、のどかな陽気や和やかな風がどの家にも

溢れている。

財団法人官休庵設立、千茶道文化学院創立。平成十一年歿八十七歳

本床

 

「高取焼 福雀 香合」

十三代 亀井 味楽(造)機叟(箱書)

高取焼窯元。十一代高取久助寿泉長男。藩の保護がなくなった高取焼を味楽窯の

当主として守る。茶陶の造詣も深い。昭和十九年技術保存者。昭和三十一年歿七十三歳

 

鳩居堂「梅が香」

 

「福良雀」「福来雀」ともいわれる。

冬の寒さをしのぐために羽をふくらませた丸々とした姿は、豊かさを象徴する縁起物

とされてをついばむ」きた。雀自体も、「厄をついばむ」の意味があり、一族繁栄や

家内安全の象徴でもある。

地元でも農地が減って、最近目にすることが少なくなってきたのがさみしい。

香合

 

花;白梅、侘助

花入;「備前 一輪入」中村 六郎

味のある作品が多く、もっと評価されてもよいと感じている。

六郎窯。昭和二十年金重陶陽に師事、大正三年伊部生平成十六年歿

 

園城寺 釜」菊地 政光

姥口、土筆鐶付、撫肩、尻張を特徴とする丈の低い釜を指す。

肩に「園城寺」の三文字を鋳出し、胴は霰文をあしらう。

かつて松平不昧公が所持した芦屋釜の名品が有名で、現在東京国立博物館所蔵と

なっている。

もともと北九州博多でつくられていたが、守護する人がいなくなり、関西へ渡った

とされている。

つるっとした柔らかい肌が特徴。

「海松浪蒔絵 炉縁」岡本 陽斎

漆芸家。茶道具を中心に製作。京都在住で工房は石川県中山町。昭和七年京都生

和食はもとより、茶道具に漆器は欠かせない。

この度の震災で多くの担い手が被災されてしまわれた。

手に取って、その得難い魅力、存在を知って頂きたいと強く思う。

海松とは ミル科に属する海藻の一種で、ミル貝とは別種のもの。

文様として 装束に用いられたほか、食用、保存食や薬としても活用された。

名は「見る」にかけられ、古く万葉集の時代から歌に詠まれてきた。

釜、炉縁、水指

「雪輪 棗」福久 清一

 輪島塗 作家

 

冬に積もった雪は春、雪解け水となり、野山の草花をはぐくみ

さらに秋の実りをもたらすことから、五穀の精といわれており、

その年が豊作となる吉祥の象徴とされてきた。

雪輪文が登場するのは近世以降とされている。

ルーペなどない時代、雪の結晶をよく形であらわしたものだと感心してしまう。

情景を絵画的に表現した「雪景文」

そこから雪の積もった植物のみを描き出した「雪持ち文」

さらに雪だけが独立して「雪輪文」となった。

冬の情景を表すのみならず、江戸時代、庶民の小袖に涼しさを演出するために

描かれたり、「雪輪どり」という柄の構図の境界線にも用いられたりしている。

文様の世界は奥深く楽しい。

 

「乾山意 蓋置」中村 東洸

別号/加藤庵 

粟生屋六世。

 

備前 茶入」小泉 又楽庵

茶入

 

信楽 破レ袋 水指」四代 高橋 楽斎

楽斎窯、滋賀県無形文化財信楽名工

水指

水指 後側

「乾山意 蓋置」中村 東洸

蓋置

茶杓 「銘 こぼれ梅」

 

エフゴ建水

 

濃茶碗  「銘 草萌 黒 茶碗」大野 桂山(造)小林 太玄

臨済宗紫野大徳寺塔頭黄梅院 花押箱書)

草萌 黒茶盌



「長次郎写 風折 筒 茶碗」佐々木 昭楽

父松楽に師事、茶道具専門に製作、祖父の代より楽焼に従事。京都清水阪に築窯

のち亀岡矢田神社の畔に移住、出口王仁三郎、小田雪窓の知遇を得、再び開窯。

昭和十九年京都生

筒茶碗

薄茶茶碗;「志野 茶碗」佐藤 重造

 

主菓子;「あわ雪 純白/桃花」  

「牡丹唐草紋 古染付皿」へ

一枚一枚文様と色の濃さが異なる、天然の虫喰の味わいと、

あわい白と桃色とのコントラストに趣があった。

 

主菓子

干菓子;「万葉の花」諸江屋  真塗 四方盆に

落雁ははじめて頂いた。まるで主菓子のよう。

干菓子

三月は 月末の予定、

どうのような趣向となりましょう。

季節の変わり目 皆様ご自愛下さい。