初風炉

風炉の集いが五月末におこなわれた。

寄り付きには 涼やかなせせらぎが届くような

柳江清風」川合 玉堂

文化勲章。昭和三十二年歿八十四歳 愛知生。

寄付

本床には 「閑雲」遠州流十一世 小堀 宗明

ゆったりと空に浮かぶ雲。

なにものにも束縛されない悠々自適の境遇の

たとえとされている。

出展:『全唐詩話』「僧貫休」閑雲野鶴より

 

香合は「玄々斎好 蜑小舟 あまおふね 香合」小松 幸清

 

海で魚・貝などの漁をする小舟のことを指し、よく和歌などにも

詠まれている。

「世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも」

漁夫の小舟を見るにつけ思われる、人の世の無常

鎌倉三代将軍 源実朝 百人一首

 

本床

香合

「竹手付 花籠」 功芳斎 には 初風炉ならではの花々を。

蛍袋 未央柳 小判草 露草 小葉の随菜

 

雲龍文 釜」初代 畠 春斎

「唐銅 鬼面 瓶掛」

 

釜 風炉

「鉄線蒔絵 棗」田崎 昭一郎

鉄線の蔓もまた、吉祥に通じるエネルギーが感じ取れる。

水指

「染付網目 水指」加藤 藤城

網目模様は身近な模様として 古来愛されてきた。

じつは縁起がよいとされる吉祥文でもある。

同じ文様をくり返すところから「連続するもの」

「永遠に続くもの」の意味を読みとる。
「網」は福を「からめとる」「すくいとる」ものとして

商いの世界では昔から喜ばれてきた。

 

「銘 清風入梧竹」 油竹 茶杓」成瀬 宗巨

のみ一丁で黙々と削りけして名前を表に出さない謙虚な人柄の持ち主。

花道、書道をよくする。明治三十四年生

 

せいふうごちくにいる

鳳凰は桐に棲み、竹の実を食す

桐と竹を揺らす清風は、鳳凰の飛来のたとえ

梧竹は青桐を指し、鳳凰は梧竹にしかとまらない。

葉が大きく、

その葉が台風の兆しをとらえて揺れる様が 

干ばつをおそれる大陸では神聖な樹とされてきたという。

 

「竹 蓋置」

 

「洲浜紋 三島茶碗 好み六十一の一」蜂谷 宗由

茶道・香道・志野流十九代家元、昭和六十三年没

 

三島茶碗

三島茶碗

白磁蛍手 碗」岡 重利

白磁 蛍手 茶碗

白磁 蛍手 茶碗

陶芸、貫入青磁。金美卒。昭和五十三年金沢市別所町に築窯。

蛍手とは 

透かし彫りをした作品に、透明釉をかけて焼き上げる技法のことをいう。

いったん器面に穴を開けて、釉薬で穴埋めをした状態になる。

蛍手は透かし彫りを応用・発展させた技法ともいえる。

透かし彫りの作例はきわめて古く、一万年以上前の縄文時代まで

遡るとされている。

 

「調布銘菓 多摩川の鮎」今木屋

「竹 網目籠」に水をうった葉を敷き、今にもはねそうな鮎を。

主菓子

「鉄線点彫沈金 干菓子 盆」北浜 一清

 

干菓子盆

干菓子

「万葉の花-撫子」諸江屋 

万葉の花といえば 古来梅をさすが、こちらは季節にあわせて撫子となっている。

金沢の銘菓。

 

関東も梅雨入りを迎えたが、来月はどのような趣向といたしましょうか。

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