ひんやりした雨の中、まさに*雨中の茶会を開きました。
今回席主の趣向が良くあらわれている取り合わせかと思います。
寄付には 川北 霞峰の「蝸牛」の短冊。その短冊掛がすだれでとてもいい風情です。
本床には 坪井 杜国「紫陽や 品かはりゆく 花の色 画賛」
この方は尾張蕉門の有力者で、芭蕉に特に目を掛けられていたそうです。元禄三年歿 三十四歳。
大好きな竹籠の季節がやって参りました。
竹竺「唐物写胴脛当手付 篭」そこへ やまぼうし、鉄仙、紫蘭を添えてみました。
香合は鈴木雅也「楓 蒔絵吹漆丸香合」です。蒔絵の上品なこと。
蓋置は竹器師 黒田 宗傳「竹 蓋置」
今回もスタッフが丹精込めて育てた花々です。
釜と風炉もこれ以上ない相性の良さをご覧下さい。
瓢棚には 春斎「松溜塗 吹雪茶入 内梨子地」と藤井 厚二「染付 水指」
野雁の羽箒で清めてお点前を始めます。
茶杓は東竹斎(造)藤田 寛道(筒箱書花押)「銘 八ッ橋 茶杓」
建水もいい味わいです。
勝龍寺窯「縄のれん建水」建水以外にも使いたくなる何ともいえない焼き物です。
この藤井 厚二氏は号を聴竹居とされる、建築家です。
日本で初めて「環境共生住宅」を考えられ、建物の理想は、日本の気候風土と日本人の体に適した建築住宅であるべし、と唱えられました。
昭和三年「聴竹居」木造平屋を建てられ、茶室もございます。茶道はもちろん、華道、ボート、陶芸など嗜み、
敷地内には茶室、陶芸窯、職人用の住居もあったそうです。光悦もかくやと!
主菓子は「落とし文」今木屋さんのつくりたてです。
落とし文とは、江戸時代人にわからぬように手紙を道ばたに落として渡した、という風習をもとに。
新緑の時期 野山では落とし文の様に筒状に巻かれた葉が落ちていることがあるそうです。
おとしぶみ科の昆虫が落とした「落とし文」から着想を得た銘です。
お皿は「祥瑞手竿付皿」。色合いも涼やかな取り合わせです。
干菓子は京都の緑寿庵清水 「金平糖」青・白・桃色を紫陽花の彩りにみたててみました。
器は大西 清右衛門「青海盆」。
来月はどんな趣向とまりましょう。
変わりやすい季節、皆様どうかお大切にお過ごしください。