国宝 興福寺仏頭展

東京藝術大学美術館で開催中の「国宝 興福寺仏頭展」に足を運びました。

今回の中心は、15世紀初頭火災で長年行方不明だった白鳳時代の仏像仏頭です。
平安末期、飛鳥の山田寺から運びこまれた巨大な白鳳時代の銅造仏像は、東金堂の本尊、薬師如来として安置されていました。
火災により、ご本体全てはお救いできませんでしたが、お顔は台座に埋められ守られていたのですね。
昭和12年(1937)10月、東金堂の解体修理中に現本尊台座内にあるのが偶然発見されました。「仏頭」は台座の中で木箱の上に乗せられ、本尊と同じ西向きに置かれていたのです。誰がどのような思いで「仏頭」をここに収めたのか、それがどうして伝えられずに来たのか。謎は深まるばかりです。(会場解説による)鳥肌がたつ想いで拝みました。
破損仏でありながら、異例ともいえる国宝指定を受けている仏像です。長らく国宝館に収められていました。頭部だけで総高98.3センチという巨大なお姿です。それが金色に輝いていた当時、人々にどれほどの衝撃であったことでしょう。

本来その仏様をお守りする眷属(従者)国宝「木造十二神将立像」(鎌倉時代)と、実に600年ぶりにご対面となりました。心なしか、十二神将の表情がより生き生き見えて参りました。
木造十二神将立像では、一体一体のポーズや表情もさることながら、いでたちに注目。
沓では、今で言うウエスタンブーツあり。なぜか草履あり(伐折羅像)。ベルトも、広目天では饕餮風の獣あり。各像とも頭部の髻(もとどり)に干支の動物をつけているそう。私も猿、牛、鼠は目についたの覚えています。皆様お探しくださいませ。

重要文化財厨子入り木造弥勒菩薩半跏像」(鎌倉時代)の美しさはさることながら、その台座に閉じ込められている天邪鬼についつい視線がとまってしまいます。
鎌倉時代の邪鬼達の、思わず笑みが出てしまう愛らしさは見事ですね。
鬼が日常とかけ離れていなかったからこそ、ともいえる様な気がいたします。

「板彫十二神将像」は、平安時代(11世紀)の作。かつては東金堂の薬師如来像の台座の周囲に配されていたともいわれています。ヒノキのわずか厚さ3センチ前後の板を彫り、表情豊かでたくましく、躍動感のある神将たちの姿を見事に描き出しています。きわめて高い技術力で制作された、我が国の浮彫像のなかで屈指の名品です。
12点そろっての寺外での展示は、今回が初めてで、彩色は薄れてしまったそうですが、色彩がないだけに、よりその彫の詳細がみてとれます。並んでいる像を見て回っていると効果音が聞こえてきそうなリズミカルさです。
ポーズ躍動感ある「迷企羅」「波夷羅」、幼児がもじもじしているような、愛らしいポーズの「摩虎羅」印象に残りました。
そしてこんなにも薄く、10世紀も前の板彫りが、全くソレたりワレたりしていません。制作と保存の技術にも頭があがりません。。。

中金堂は釈迦三尊像を安置するため寺の中心的な堂として、和銅3年(710年)の平城京遷都直後に建立とされています。東金堂・西金堂が建てられてからは位置的にも中心にあるため、中金堂と呼ばれています。古来、焼失と再建を繰り返しましたが、江戸時代の享保2年(1717年)の火災により、中心から西半分焼失後は1世紀以上再建されず、文政2年(1819年)、寄付によってようやく仮の堂が再建されたものの、あくまでも仮のお堂のままでした。安い建材による、雨漏りもひどかったようです。

明治の廃仏毀釈運動により、広大な敷地は公園やホテルとして没収され、なんと五重塔、三重塔でさへ、売りに出されたそうです。買い手により、塔自体燃やして金具だけ取り出される運命にあったとのこと!!!
火事への危惧と観光誘致により今日の姿を保っています。
このとんでもない運動で、数多くの仏像や塔が破壊されていたかと思うと、、、いたたまれません。
明治30年の古社寺保存法でようやく修理や整備が始まりましたが、公園の中にあある状態であることや、中金堂なくして本来の姿なし、というお寺の想いが、創建当時の天平のお堂再建が始まりました。
会場にはその模型が安置されています。また、画像でも完成図が公開されています。
中金堂前に回廊をめぐらせた画像をみて、回廊の持つ魅力を再認識いたしました。
寺社に限らず、教会、モスク、人種宗教問わず、回廊は信仰の世界観を象徴しているようです。
創建1300年たってからの再建ですが、100年、200年はお寺の歴史からみれば短い時間です、との住職のお言葉が印象に残りました。
今回、「仏頭」と同じ白鳳仏として、東京・調布の深大寺所蔵の重要文化財「銅造釈迦如来倚像」も特別陳列されています。身近に白鳳仏がいらしたなんて、はじめて拝ませて頂きました。

それでは、本日の蓮からのお品物紹介です。

お顔と体のバランス、首から肩にかけても鍍金仏らしい美しい流れです。
光背は蓮弁の火焔光でしょうか。文様も経年で味わい増しています。

作品名:「大唐永隆年 鍍金仏」
メモ 1:状態良・蓮弁背面「大唐永隆年」文字有・当箱・永隆=唐代前期(680〜681年)
商品番号:91306657

お次は木彫。見ているだけでも、手で触っているような作品です。

大きな仕事の凹凸、細かい仕事の凹凸。長野生まれの作家らしい村娘像です。

作品名:「村娘」
作家名:武捨 一久
内寸:高53.3 cm
メモ 1:状態良(台座前側ヒビワレ極少、後ろ背中から台座まで細いワレ有)台座に彫銘
メモ 2:木彫。中村実、中村直人に師事。長野県美展知事賞、日本画府展会員。昭和四十九年歿六十三歳長野県真田町
商品番号:70514212
※こちらの作品は売約済みとなりました。ありがとうございました。

余談ですが展覧会の特設サイトとして、仏頭タイムスというサイトがひらかれていますね。
http://butto.exhn.jp/times/index.html
仏頭大使にみうらじゅんさんといとうせいこうさん。
数年前の仏像ブームの火付け役であるみうらじゅんさん。不思議な方ですよね。昨今の大ブームご当地「ゆるキャラ」の「ゆるキャラ」という言葉もみうらじゅんさんが使い始めブームになったのだそうです。
ちょうど先日の爆笑問題のラジオでも太田さんがみうらじゅんさんを絶賛していて、何故広告代理店でもないのにブームを起こせて、しかもそこで本人は何もしないでいれるのか、ふつうじゃない。と話題にしていました。
話はそれましたが、国宝25点、重要文化財31点など約70点の至宝が集う豪華な展示、と宣伝以上の見ごたえある展示でした。

「国宝 興福寺 仏頭展」
会場:東京藝術大学大学美術館(東京都台東区上野公園12-8)
会期:2013年9月3日(火)- 11月24日(日)午前10時 - 午後5時
http://butto.exhn.jp/

引用:東京芸術大学美術館 展覧会構成より
展覧会の見所も参照願います。
http://butto.exhn.jp/highlight/index.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/

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お問い合わせ: http://jikoh.co.jp/?page_id=26